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2022.10.18

【高架下ものづくり会議】VOL.3 アフターレポート

高架下ものづくり会議 Vol.3 【動画アーカイブはこちら】 【イベント概要はこちら】

暮らしの中にある、幸せな生地 〜「革」と「手ぬぐい」から紐解く未来のものづくり〜

 

 ”日本のものづくり”をコンセプトに、JR 秋葉原駅と御徒町駅間の鉄道高架下に開業した商業施設『2k540 AKI-OKA ARTISAN(ニーケーゴーヨンマル アキオカ アルチザン)』。そんな2k540の店舗が登壇し、ものづくりの裏側や思いを存分に語るトークイベント「高架下ものづくり会議」vol.3の様子をお届けします。

「暮らしの中にある、幸せな生地」と題したvol.3では、革製品ブランドのb3Laboより成田さんと、注染手ぬぐいのにじゆらより小野さんが登場。革と手ぬぐい、素材は違えども、どちらも使い込まれることで味わいを増していく素材です。そんなそれぞれの素材とブランド、お二人のものづくりに向き合う想いについて語っていただきました。前回ゲストのnocra、A:buchiadotからの紹介で登壇いただいた今回のお二人。食とジュエリーという異なる分野の掛け合わせから、ものづくりについて一緒に考えました。

【ゲスト】
b3Labo(ビースリーラボ):成田店長
染めこうば にじゆら:小野店長

 

Q. まずは、それぞれのお店とご自身について紹介をお願いします。

<b3Labo>

成田さん:

「b3Laboは「革製品をもっと身近に」をコンセプトに掲げ、栃木レザーをはじめとする国内外の良質な革を熟練の職人が仕立てる革バッグと革小物のお店です。浅草橋にアトリエがあり、2k540にはグランドオープンのタイミングで入居しました。お店の前にシンガーミシンが置いてあるので、ぜひ目印にしてくださいね。

革という素材は、動物の違いによっても変わりますし、同じ牛革であっても個体や部位によって全然違う印象になります。表面のしわ模様を「シボ」というのですが、あえてシボをそのまま残して商品にしているので、シボがあったものを選ぶ方もいれば、シボがないものが好きな方もいます。そんな違いを楽しむのも革の醍醐味のひとつ。色合いや手触り、手に持った時の重量感など、ネットでは分からないこともたくさんあるので、ぜひ店頭で直接手に取ってみていただきたいです。」

b3Laboでは店頭でのカスタムオーダーを行っています。素材や商品を選んでいただいたら、イニシャル刻印を入れたり、チェーンをつけるなどの加工、ベルトであればピッタリのサイズに仕立てることも。まさに世界に一つの商品が誕生します。

成田さん:

「革は世代を超え、長く愛用いただけます。店頭には数年使ったアイテムをサンプルとして展示しているので、色合いや風合いがどのように変化するのか、想像しながらぜひお選びください。また、良い状態で保つためには日頃のお手入れも重要です。特にお財布やベルトなど、毎日身につける商品は摩耗も進みやすいもの。当店ではオイルアップメンテナンスに加え、ファスナー交換やステッチのほつれなどの修理も対応しています。自社製品であれば無料でお手入れを行いますので、購入後もお気軽にお持ち込みくださいね。」

 

<染めこうば にじゆら>

小野さん:

「にじゆらは「注染」という染色技術から生まれた手ぬぐいブランドです。注染とはその名の通り、「注いで」「染める」技術。一度に2~30枚分染めることができて、一枚の布をじゃばら状に重ねて上から染料を注いで染めます。注染によるにじみやぼかしの表現、なんとも言えない風合いが注染の魅力です。看板商品の「ROND」シリーズもそんな注染の特徴が生かされたデザインになっています。」

「私たちの工場は元々手ぬぐいや浴衣の委託染色を行なっており、50年以上の歴史があります。注染の工場や職人が徐々に減っていく中で、注染という技術を残そうと、自社ブランドとして「にじゆら」を立ち上げたのは2008年のこと。大阪・堺を本社としてスタートし、2014年に関東初店舗としてオープンしたのがここ染めこうば店(2k540店)です。現在は関西・関東に6店舗あります。

b3Laboさんと同じく、にじゆらも職人さんがすぐそばにいる「ファクトリーブランド」。店頭に立つ私たちは、そんなつくり手とお客様を繋げる橋渡しの役割だと思っています。

成田さん:

「とっても分かります。ものづくりって人の体温が伝わるもの。私たちはつくり手の顔が見え、声が聞こえる現場で働いているので、お客様に接するときにはそんな職人さんたちの顔をいつも思い浮かべています。革は長く使えるもの、ギフトに選ばれることも多いので、人と人とを繋ぎ、人から人へと思いが伝わっていく架け橋になれればと思っています。」

 

 

イベント後半は参加者からの質問も織り交ぜつつ、さまざまなテーマでのトークを展開しました。

Q. 「ものづくりの職人」というと現場には男性も多いイメージですが、お二人はそれぞれどのようにこの世界に入ったのでしょうか?

成田さん:

「私の場合は、革製品が好きだった父の影響です。父が馬蹄型の小銭入れを使っていて、よくそれを持たされてお使いに行っていました。お釣りで好きなものを買っていいよ、という約束で(笑)。そんな小さい頃の思い出に、馬蹄型の小銭入れも残っています。実際にb3Laboで働くようになって、革製品が身近になり、また長く使ううちにどんどん愛着が湧くようになりました。お客様にただ一つのオーダーベルトを喜んでいただけるのもこの仕事の喜びの一つです。

小野さん:

「私は元々、にじゆらのいちファンでした(笑)。大阪旅行中にたまたまにじゆらの店舗に入って、今時のてぬぐいってこんなに可愛いんだ!と衝撃を受けました。そこからてぬぐいを使うように。ある時にじゆらのワークショップに参加して、ずっと働きたいと思っていたことを伝えたら、すんなり話が進んで今、働いています。(笑)

入社後は、自社ブランドにかかわらずいろんなものづくりに目がいくようになりました。注染は職人が減ってきて、誰かが守らないとそのものづくりはなくなってしまうかもしれない。産業が発展する必要もある一方で、今あるものも変わらずに残っていってほしいなという思いがあります。タオルが登場して手ぬぐいの活躍の場は昔ほどなくなってしまったけど、それはタオルが悪というわけでもなく、必要として使い続ける人がいる限り、手ぬぐいも残ってほしいなと思うんです。ここで、にじゆらの私が一番好きな文章をご紹介します。」

Q. 手ぬぐいにはどんな活用方法がありますか?

小野さん:

「ものを包むだけでなく、頭に巻いてファッションアイテムにしたり、小さく畳んでハンカチにしたり、額に入れてお部屋に飾ったり。楽しみ方は無限大なので、お客様からこんな使い方できるよって教えてもらうこともあります。私はそれで、バスタオルを手ぬぐいに変えました。」

成田さん:

「今、手ぬぐいをバスタオルとして使うのって流行ってるみたいですね!」

小野さん:

「手ぬぐいは使用後はざぶざぶ洗えるし、乾きも早いので衛生的にもとても理にかなってるんです。他にもスタッフの手ぬぐいアレンジをインスタで多数ご紹介しています。手ぬぐいの楽しみ方は人それぞれ、自由に遊んでみてくださいね。」

 

Q. 2k540に出店したきっかけ、ここならではの良さは?

小野さん:

「私たちは店舗立ち上げを担当したわけではないのですが、にじゆらは大阪生まれのブランドなので、関西ではそこそこ知名度があるのですが、東京に来たら全然知られていなかった。2k540のイベントに参加させてもらったことがきっかけで、関東初の店舗として出店が決まりました。」

成田さん:

「b3Laboは2k540のグランドオープンから入居しています。私はそれまでは大型商業施設にいたので、2k540に来た当初はあまりの違いに驚くこともしばしば(笑)。横のつながりが強いですし、お店同士でコラボして商品を作れるのは、職人のいるこの街(施設)ならではだなと思います。」

小野さん:

「団結力が強いので、新しいものを生み出すパワーも大きいですよね。」

成田さん:

「常連さんや顔馴染みの方もたくさんいて、本当に商店街のような、お客様を含めて一つのコミュニティを形成しているのを感じます。それってショッピングモールや、他のお店では絶対起こり得ないことだから面白いなって思います。」

小野さん:

「他のお店を紹介することも多々ありますね。」

 

Q. ブランドを知ってもらうため・伝えるために大切にしていることは?

成田さん:

「b3Laboではお客様とのお約束として、一切お値引きをしていません。せっかく気持ちよく買っていただいた商品が、あるときお店に行ったら値引きされていてがっかりさせたくないからです。その分、日頃からお客様にとって手の届きやすい価格帯でお届けすることにしています。

個人として大事にしているのは、何より革の良さ、経年変化の魅力を伝えること。長く使っていただくために、お客様と一緒に悩み、相談に乗っています。」

小野さん:

「私たちの一番の思いはまず手ぬぐいを残したい、注染を残したいということ。そのためには手ぬぐいを使ったことのない人にも手にとってもらいたいと思っています。なのでにじゆらに限らず、手ぬぐい業界全体が盛り上がってほしい。それがゆくゆくはにじゆらの盛り上がり、ブランドの力にもなると考えています。」

 

Q. 最後に一言おねがいします!

成田さん:

「じゃあ最後に私の私物の手ぬぐいを、、、(にじゆらの手ぬぐい取り出して)。使い込んでいくと柔らかさも全然違う。私はキッチンで手ぬぐいとして使っています。」

小野さん:

「いや!もう嬉しいのよ〜〜〜〜これが。これだけ使っていただくのが本当にうれしいです。私はb3Laboのバッグを私物で使ってます。全然新品と色が違うのわかりますか?ツヤッツヤのつるんつるんでよく育ったねという感じ。使い方も色々できて、本当おすすめです。」

実は成田さんと小野さんはお互いのショップの商品を日常づかいで愛用していました。ものづくりの街 2k540ならではの繋がりや各ショップの商品の良さが垣間見えます。

小野さん:

「コロナがはやく落ち着いて、いろんなところからお越しいただきものづくりに触れあえるようなイベントを今後もやっていけたらと思っています。今回のイベントをきっかけに少しでも2k540の雰囲気が伝わっていたらうれしいです。」

成田さん:

「すごく楽しかったです。このトークイベントをきっかけに2k540でもっともっと新しいムーブメントができたらと思いますし、一つのコミュニティとして進化していっていろんな面白い一面が見れたら。2k540の可能性もまだまだ広がるかなと思います。」

動画アーカイブはこちらから!

 

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