STORIES:OKUROJI

【Photographer's OKUROJI】#3
ウィスキー活動進化系@大人のガード下

【Photographer's OKUROJI】#3<br/>ウィスキー活動進化系@大人のガード下<br>
ストーリー

2020.11.20

この記事をシェア

写真家の在本彌生さんがOKUROJIを訪れ、撮影。彼女のフィルターを通して見た、OKUROJIの姿を写真とエッセイで綴ります。今回は『WHISKY HOUSE MADURO』にフォーカス。

Photo & Text: Yayoi Arimoto

ウィスキー活動進化系@大人のガード下

この世には数多の種類のお酒が存在する。その味や、香りや、アルコール度数、チャームポイントが重ね合わさって意味を作り、それぞれのお酒の持ち場というか、負わされた役割があるように見える。お祝いには泡の立つお酒、暑い夏なら冷えたビールか白ワイン、踊るならテキーラ、お寿司には日本酒、煮込みには焼酎、、、などなど。そんな見方をするならば、ウィスキーってどんな時に飲むお酒だろう。もちろんそんなことを決めつける必要など全くないのだが、ふとそう思った。

10年ほど前、撮影の仕事でウィスキーの里、スコットランドのアイラ島を訪れた。それまではウィスキーは勧められたら喜んで飲み美味しいなと思う、その程度で、あらゆる選択肢のある中で自ら選んで飲むお酒ではなかった。それが、現地であちこちの蒸留所を訪ね飲み歩き、このお酒が水や泥炭など自然の大いなる恵みの産物であることを知って以来はまってしまった。香りも酔いごこちも好みで、それ以来私はすっかりウィスキーファンだ。特に秋から冬にかけての今のような季節にはこの香り高い飲み物が似合う。何かを考えたり、本を読んだり、音楽を聴いたり、ひとりの時に飲むお酒としては最高だ。僅かな量を口に落とした瞬間から、ゆっくりと香りや余韻を楽しんで、じわじわと酔いがまわるのを楽しんでいる。ビールをチェーサーにして、仕込水を少しばかりシングルモルトウィスキーに混ぜてちびりちびりとやるのがアイラ島の地元のオヤジのスタイルで、蒸留所でも(ビールをチェーサーにはしないが)仕込み水を少しウィスキーに加えることで、口に含んだ時に香りがより広がり、甘さも増すのだよと教わった。入り口がそれだったものだから、それが私の好きな飲み方になった。

OKUROJIにできたMADUROなら、仕事の帰りにちょっと寄り道してウィスキーを味わえる。このお店ならウィスキーバーの敷居の高さみたいなものはすうっと飛び越えているので、身構えることもない。ただひたすらに、美味しいウィスキーとの出会いを楽しみに行ったらいい。考える酒、切り替えの酒のウィスキーだから、この店ならひとりサクッと飲むのも好ましい気がする。細長いカウンターと正面にずらりと並ぶボトルの数々が眩しく、ハーフショットでも飲めるというから、ものすごく迷って一種類しか選べないなんてこともなくちょっとずつ色々「大人飲み」できる。店長の森島一希さんの無駄のない所作でグラスに注がれたウィスキー、眺めて、香って頂くことにしよう。私がもしこの界隈で働いていたら、きっと毎日のように仕事終わりにここに通って、ボトル全てを味わうべくハーフショット飲みすることだろう。副店長の浦田俊子さんが素敵な笑顔で作るハイボールも、友達との待ち合わせ前などにくいっとやりたい。

Profile

在本彌生(ありもと・やよい)
東京生まれ。外資系航空会社で乗務員として勤務、乗客の勧めで写真と出会う。以降、時間と場所を問わず驚きと発見のビジョンを表現出来る写真の世界に夢中になる。美しく奇妙、クールで暖かい魅力的な被写体を求め、世界を飛び回り続けている。2006年5月よりフリーランスフォトグラファーとして活動を開始。雑誌多数、カタログ、CDジャケット、TVCM、広告、展覧会にて活動中。
http://yayoiarimoto.jp/photo/fashion/

 

この記事をシェア

関連記事