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【OKUROJI酒場探訪記】#1
お酒好きにはたまらない。ときめく “アテの盛り合わせ”。

【OKUROJI酒場探訪記】#1 <br/>お酒好きにはたまらない。ときめく “アテの盛り合わせ”。<br>
グルメ

2020.11.18

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数々の酒場を渡り歩いてきた酒場ライターのパリッコさんが、主観たっぷりでお店をレビューする新企画、『OKUROJI酒場探訪記』。第一回は好みのお酒に合う、気の利いたアテが話題の『アテニヨル』。

Photo:Kyouhei Yamamoto  Text: Paricco

OKUROJIの入り口からすぐの1軒目

長い長い高架下に魅力あふれる飲食店や商店が立ち並ぶ「日比谷OKUROJI」。飲み食いが好きならばこそ「あそこもいいな」「こっちもいいな」と迷ってしまい、なかなか入る店を決められないなんて人もいるようで。って、それはまさに僕のことなんですが。

というわけで、今回初めてやってきたOKUROJI。今日は、新橋側から訪れるといちばん最初に目にすることになる、入り口を入ってすぐのお店、「アテニヨル」に入ってみることにしましょう。

OKUROJIの入り口からすぐの1軒目

アテニヨルの「アテ」とは「おつまみ」のこと。仕事が終わった夕暮れどき、今夜のお酒とアテを考え始める。肉だから赤ワイン、魚だから白ワインなんてルールはもう古い。その日の気分次第で食べたいアテとそれに合わせたいお酒を自由に合わせることこそ、疲れた心を癒すお酒の時間の楽しみ。そんなコンセプトから、いかにもお酒が進みそうな珍味系から、粋な一品料理、炭火焼き各種にご飯もの、はてはデザートまで。お酒も、ワイン、日本酒をはじめ幅広く取り揃え、その組み合わせを楽しめてしまうのが、こちら「アテニヨル」なんだそうです。

広い店内にはコの字カウンターがふたつに、テーブル席もたっぷり。窓の外からは外光が差しこみ、ものすごい開放感のなかお酒が飲めるのが素敵ですね。

酒飲みならときめかないわけがない「アテの盛り合わせ」

酒飲みならときめかないわけがない「アテの盛り合わせ」

ただし、僕が食い意地の張った酒飲みであるからこその悩みも。というのも、メニューにずらりと並んだ料理がどれも味わってみたくて、頼むものをぜんぜん決められない! すると店主の浮嶋さんがニヤリと笑って言います。「それならば、アテの盛り合わせを試してみてください」。

「アテの盛り合わせ」はその名の通り、色とりどりの小皿のアテが一堂に会したお得なセット。なるほど! こういうのですよ、我々酒飲みがいちばんときめくのは。5種と9種があるようで、せっかくなので9種盛りをお願いします。

ワインや日本酒は専用のメニュー表があるほど充実したお店ですが、フルーツなどを漬け込んだ自家製のサワーメニューなども豊富。一杯目はそのなかから、どうしても飲んでみたかった「山椒ハイボール」を選んでみました。

届いた瞬間、僕の心のなかの乙女が「きゃー!」っと歓声をあげた、アテの9種盛り。内容は、「本マグロ刺し」「サーモンマリネ」「筋子」「合鴨の煮付け」「わかさぎの南蛮漬け」「北海蛸の63℃煮」「クリームチーズと鰹の酒盗」「根室産 ほやの塩辛」「有明産 生くらげの酢の物」「生湯葉の銀あん仕立て」「おきゅうと」「もろきゅう」……って、あれ? 何度数えても9種類以上あるんですけど。と聞くと、浮嶋さんがまたニヤリ。

山椒を漬け込んだウォッカをソーダで割り、仕上げに木の芽をあしらった山椒ハイボール、山椒と炭酸の刺激と、絶妙なピリ辛具合がたまりません。さてこの爽快さにはどのアテを合わせようか……天国ですかここは。

続いて、さまざまな食材を合理的に焼けるよう特注したという炭焼き台から、豚肉好きとしては頼まざるをえなかった「日高四元豚神威豚 肩ロース肉 室蘭焼き」もやってきました。

北海道は室蘭の名物「室蘭やきとり」は、名前に反して鶏ではなく豚肉を使うのが特徴。がぶりとほおばると、驚くほど柔らかく旨みの濃い豚肉と、甘辛くて深みのあるタレのハーモニーが口いっぱいに広がります。この味に合わないわけがないと山椒ハイボールで追いかければ……はい大正解〜!

ソムリエに聞く、生の魚介類に合うワインとは?

浮嶋さんは長くスペインバルなどに勤めてきたワイン畑の人で、名刺の肩書きもずばり「ソムリエ」。なので、ワインの話となれば特に楽しそうに、あれこれと教えてくれます。

僕はあまりワインには詳しくないけれど、せっかくだからおすすめを飲んでみたい。そこで、「アテ9種盛りにいくつか乗っている、生の魚介類に合うワインってありますか?」と伺うと、「それならばこんなのがおもしろいですよ」と教えてくれたのが、白ワイン「ヴィッラ ソライス」。なんでもこのワイン、イタリアのサルディーニャ島という島で作られているらしく、海風の影響を受け、塩味の乗ったような独特の味わいなんだそうです。その味わいが魚介類と合わないわけがないわけなんだそうで、ぜひ、お願いします!

ソムリエに聞く、生の魚介類に合うワインとは?

日差しを浴びてキラキラと輝くワインを、まずはひと口飲んでみる。するとフルーティーかつスパイシーな香りが鼻を抜け、そして確かに最後にほんのりと潮風を感じるような余韻があります。へー、こういうワインがあるんだなぁ。

さて、いよいよこれを魚介類と合わせてみようと思うわけですが、浮嶋さん「筋子なんかにもよく合いますよ」とさらりと言います。筋子とワイン、いちばんハードルが高そうだけど……え〜い、浮嶋さんが言うなら信じよう!

……あ、美味しい! 合う〜! なんだろう、筋子の塩気と、魚卵独特のちょっとしたクセ、それが潮風を感じるワインとマリアージュし、旨味を高めつつ後味を爽快に洗い流してくれるような感じ。ちょっとこれは未体験の味わいですね……。

さて、と次なるパートナーを探していく。すると、マグロの刺身も、ほやの塩辛も、酒盗を乗せたクリームチーズも、驚くほどこのワインと合うんですよね。あ〜、なんなんだこの楽しさは! 浮嶋さん、人生の新しい喜びを教えてくれてありがとうございます!

【Profile】

浮嶋貴法(うきしま・たかのり)さん

九州出身で、長くスペインバルなどに勤め、日本ソムリエ協会認定のソムリエ資格を取得。北海道に本社のある現在の会社に入り、札幌「アテニヨル」の1号店立ち上げの際、日本酒だけでなくワインも広く取り扱うことを提案し、アテニヨルが現在の形になった。2020年9月からは、札幌2号店に続く3号店「酒肴日和 アテニヨル 日比谷OKUROJI」の立ち上げのため東京へ。趣味はロードバイクで、通勤はもちろん、休日には他県にまで足を延ばす本格派。好きな芸能人は千鳥。OKUROJIで気になっているお店は、「炭焼 うな富士」「天ぷらとワイン 大塩」「ニクバルCARNIVOR」など多数。

【ライターProfile】

パリッコ

1978年東京生まれ。酒場ライター、漫画家/イラストレーター、DJ/トラックメイカー、他。酒好きが高じ、2000年代後半よりお酒と酒場に関する記事の執筆を始める。著書に『晩酌わくわく!アイデアレシピ』『天国酒場』『つつまし酒 懐と心にやさしい46の飲み方』『ほろ酔い!物産館ツアーズ』『酒場っ子』『晩酌百景 11人の個性派たちが語った酒とつまみと人生』、スズキナオ氏との共著に『のみタイム』『“よむ”お酒』『椅子さえあればどこでも酒場 チェアリング入門』(ele-king books)『酒の穴』。

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