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【My Own Locals】#5 前編
フランス・ナントの食文化とアートを一皿に。

<small>【My Own Locals】#5 前編</small><br/>フランス・ナントの食文化とアートを一皿に。<br>
ストーリー

2021.04.09

PATISSERIE PAROLA

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魅力的な人やものが生まれる場所ってどんなところ? OKUROJIで働くさまざまな人たちの“ローカル=地元”について、パーソナルな思い出からローカルならではの情報まで、ざっくばらんに聞いていきます。第五回はカウンターでデザートが楽しめる洋菓子店「パティスリー・パロラ」のパティシエ、アレクシ・パロラさん。フランス・ブルターニュ半島の根元にある港町ナントで生まれ育ったパロラさんに、その魅力を語ってもらいました。

Photo: Saori Tao  Text: Mayu Sakazaki 

私の地元を紹介します!

私の地元を紹介します!

アレクシ・パロラさん
フランス西部のロワール川沿いにある港町・ナント出身。チーズ製造を行う父のもとで育ち、フランス各地やベルリン、スコットランドなどで料理の経験を積む。2016年に来日してからは神楽坂のビストロ「ル・モコ」や「TEPPANYAKI 10」でシェフを務めたのち、今年11月にオープンした「パティスリー・パロラ」のパティシエに。休みの日にすることは日本酒や果実酒の研究。好きな日本人アーティストは米津玄師で、ブランドはイッセイ ミヤケやケンゾーがお気に入り。OKUROJIで気になっているお店は「まんてん鮨」。 

Q1、フランス・ナントはどんな街?

ナントは海が近くて、昔から船や港の文化が強い街。パリまで新幹線で2時間くらいなので便利ですし、とても住みやすいところですよ。アートの街として知られているほか、ワイン、シーフード、デザートなど、料理や食文化もさかん。いいシェフがたくさんいて、僕にとっては料理の学校のようでした。パリの人も休みの日はナントに来て、海で泳いだり、ゆっくり過ごします。日本でいうと鎌倉っぽい感じですね。 

Q1、フランス・ナントはどんな街? フランス・ナントの街並み

Q2、子どもの頃の思い出は?

僕のお父さんはグラスフェッド(牧草牛)のチーズを作っています。薬を使わないナチュラルで美味しいチーズで、子供のときはよく一緒に牛の世話をしていました。パティスリー・パロラでも「岩手県しあわせ牧場」のグラスフェッドミルクによる生クリームを使用していますが、それは子供の頃に飲んでいた牛乳の味をここで再現したかったから。日曜日にはお母さんやおばあさんによくケーキ作りを教わっていました。家族と一緒にデザートを作るのがすごく楽しくて、その頃から「パティシエになりたい!」と思っていたんです。 

Q2、子どもの頃の思い出は? パフェでは「岩手県しあわせ牧場」のグラスフェッドミルクによるフレッシュな生クリームをたっぷり使用。

Q3、ナントはどんな人が多いの?

ブルターニュの周辺は雨が多い地域で、天気がそんなによくなかったり、コロコロ変わるんです。みんな自然に寄り添って暮らしているので、穏やかで優しい、親切な人が多いような気がします。だからパリに行ったときは人が冷たい感じがして、結構びっくりしました。パリは東京に似ていて大きな都市だから、田舎より少しドライな感じなのかもしれません。ブルターニュはとてものんびりしています(笑)。 

Q3、ナントはどんな人が多いの? ブルターニュ地方

Q4、ナントの美味しいローカルグルメといえば?

海が近いので、サバや鰻などの魚が新鮮で美味しいですよ! 日本とは鰻の料理法が違って、ガーリックやバターをベースに調理するんです。ローカルスイーツの定番人気だと「LU」のビスケットや、ベルランゴという伝統的なキャンディ、それからガトー・ナンテというアーモンドを使ったケーキも有名です。ほかにも白ワインの「ミュスカデ」や、「マッシュ」というナントの名産品の野菜で作ったサラダも僕は大好き。

あとはやっぱりチーズ。僕のお父さんが作っている「キュレ・ナンテ」というチーズはナントでは有名で、東京でも買うことができますよ。ナントには20年前くらいによく日本の人がチーズの勉強をしにきていました。父は日本人のために海苔や海藻のチーズを作っていました。だから僕は子供の頃から日本の人と関わっていたんです。父のチーズ会社「ル・キュレ・ナンテ」は老舗バターブランド「ボルディエ」と同じグループなので、パティスリー・パロラでもボルディエバターとコラボレーションしたカヌレを作っています。香りが芳醇でとても美味しいですよ! 

Q4、ナントの美味しいローカルグルメといえば? キュレ・ナンテチーズ
フランス・ナントのボルディエバターの贅沢な香りが堪能できる。カヌレBOX(8個入り)2592円(税込)

Q5、帰省中の楽しみといえば?

日本にはたくさん美味しいものがありますが、フルーツや乳製品はフランスに比べると結構高いんです。フランスに帰るとボルディエバターが気軽に楽しめるし、美味しくて安いパン屋さんがたくさんあるのは嬉しい。日本のお米みたいな感じで、フランスでは朝・昼・夜と常にパンを食べます。家庭ではバゲットを食べることが多くて、僕もそれがいちばん好き。それから、僕のお母さんの家族はフルーツと野菜を作っているので、子供の頃は苺が食べ放題なことも嬉しかった(笑)。苺を使ったシャルロットというケーキをよく作っていました。 

Q6、地元のお祭りや、季節の風物詩といえば?

たくさんありますよ! ナントではジャズやクラシックのフェスティバルが多くて、「ラ・フォル・ジュルネ」にはよく行っていました。それから「ル・ヴォワイヤージュ・ア・ナント」という毎年夏にあるアートフェスティバルにはたくさんのアーティストが集まります。「ナントへの旅」という意味で、街中のストリートで様々なアートが楽しめます。「レ・マシーン・ド・リル」も有名ですね。

木で作られた機械じかけの巨大なエレファントが人を乗せて歩くんです。蜘蛛や女の子のマシーンもありますよ。最初はナントで始まりましたが、今は世界中で見ることができます。 

Q6、地元のお祭りや、季節の風物詩といえば? レ・マシーン・ド・リル

Q7、いちおしのローカルスポットはどこ?

「Hangar à Bananes(ハンガー・ア・バナーヌ)」という港の商業地区に、丸いライトのオブジェが並んでいて、夜に行くとすごく綺麗なんです。川沿いに並ぶライトの向かいにはバーもあるので、そのあたりは人気のスポットです。歩いているだけで気持ちいいですよ。ナントではブルターニュ公爵城を見に行くのもおすすめですし、「ゲランドの塩」もめちゃ有名! 僕の友達は夏にゲランドで塩を採取する仕事をしていました。すごく大変なのでいつもスタッフを探しているんです(笑)。牡蠣や海老にこの塩とビネガーをかけるだけですごく美味しい。ゲランドの塩はパティスリー・パロラでも使っていますよ。ボルディエバターにゲランドの塩、どちらもブルターニュの名産品です。 

Q8、ナントでデートするならどこに行く?

やっぱり海によく行っていましたね。海の近くにはアイスクリームやクレープのお店もありますが、ゆっくり自然を楽しむのが僕はいちばん好き。海の近くにある小さな道を歩くのも大好きでした。夜になる少し前のサンセットの時間がすごく綺麗で、リラックスできます。音楽が好きだったらコンサートに行くのもいいと思います! 

Q8、ナントでデートするならどこに行く? ナントの海

Q9、「ナント珍百景」といえば?

ゲランドの近くに少しめずらしいバーがありました。「Le Bidule(ル ビデュール)」というお店で、飲み物は赤ワインと白ワインだけ。立ち飲みで、せまいお店に人がぎゅうぎゅうになって、みんな7時から9時ごろまでここで飲むんです。ナンパじゃないけど、すごくフレンドリーに色々な人と話せる有名なバーです。おしゃべりが好きな人だったら、めっちゃ楽しいですよ(笑)。こういうお店はほかに知りません!

Q9、「ナント珍百景」といえば? ル ビデュール

Q10、ナントに変わった「ローカル・ルール」はありますか?

フランスでは「ビズ」といって、こんにちはの挨拶のときに両頬をつけてキスのようにします。普通は両頬に1回ずつで2回しますが、僕の家族はナントの田舎の方なので、これを4回するんです。だから家族全員と挨拶するのにめちゃくちゃ時間かかります(笑)。それはちょっとめずらしいルールかも。パリでは普通1~2回ですね。今はコロナでできなくなってしまってみんな挨拶に困っているけど、僕はそのほうが楽です(笑)。 

Q11、いちばん心に残っている思い出は?

僕はナントに帰ったら家族と友達に会います。それがいちばん大切なこと。コンサートに行ったり、食事をしたりして過ごす時間は、いつもいい思い出です。フランスは日曜日はお店が休みなので、その日はみんな働かないで長いランチをするんですよ。12時から、ときには18時頃まで! ブルターニュの美味しいロブスターやオマール海老を食べて、みんなで牡蠣をあけて、デザートにはフルーツのタルトやケーキを食べます。終わる頃にはお腹いっぱいになっています。フランスの食事は結構重めなので、僕は日本では日本料理を食べるのが好き。お寿司、豆腐、ウナギ、居酒屋の唐揚げとかも美味しいですね! 家族には簡単な味噌スープとか、日本料理を振る舞ってあげたこともありますよ。 

後編につづく

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