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2023.01.12

【高架下ものづくり会議】VOL.1 アフターレポート

高架下ものづくり会議 VOL.1 【動画アーカイブはこちら】 【イベント概要はこちら】

〜AKI-OKAから考える「ものづくり」の未来とは?〜
 

 ”日本のものづくり”をテーマにした『2k540 AKI-OKA ARTISAN(ニーケーゴーヨンマル アキオカ アルチザン)』は、JR 秋葉原駅と御徒町駅間の鉄道高架下に誕生してから、2021年9月で10周年を迎えました。2k540では、10周年を記念して、2k540の店長さんや職人さんをお招きし、ものづくりについて語るトークイベント「高架下ものづくり会議」シリーズをお送りしています。

 今回は、初回として2021年5月14日に開催されたオンラインイベント「高架下ものづくり会議VOL.1〜AKI-OKAから考える「ものづくり」の未来とは?〜」の様子をお届けします。

【ゲスト】
nocra(ノクラ):石島 卓也 店長
A:buchiadot(アーブチアドット):トウダ アサコ さん & 片山 文 さん

 

Q. まずは、それぞれのお店とご自身について紹介をお願いします。

<nocra>
北海道・旭川の木工クラフトメーカー『ササキ工芸』の直営木製雑貨店nocra(ノクラ)
店長の石島さんはnocraが2k540にオープンするタイミングでササキ工芸に入社。
 

石島さん:

「職人ではない自分がものづくりをジブンゴト化できるようになったのは、入社2年目の研修がきっかけでした。旭川工場に2週間ほどいたのですが、制作現場では驚かされることばかり。職人がどんな思いで商品を作っているのかを自分の目で見て、もっと商品やササキ工芸の理解を深め、お客様に届けたいと思うようになりました。職人だけでなく、それを届ける自分の役割もものづくりの一端を担っていると思えるようになったんです。

 

<A:buchiadot>
一方ジュエリーショップ「A:buchiadot」が2k540に入居したのは2k540がまだ本格開業する前、たった4店舗しかなかったプレオープン期。

トウダさん:

「2k540で実店舗を持つ前は、ファッションやデザインの起業支援施設である台東区デザイナーズビレッジに入居していました。デザイナーズビレッジで3年過ごし、卒業のタイミングで2k540に入居。2k540内で一番面積が小さいながら、店舗の奥には工房があり、そこで実際に制作を行っています。

私たちの商品は星やハートなどの分かりやすい形ではなく、フォークやスプーン、野菜など、ちょっと変わったモチーフをアクセサリーにしています。とはいえ突飛なデザインではなく、あくまで日常使いできること、装着した時の程よい心地よさにこだわっています。

A:buchiadotではお客様が持ち込んだ石でオーダーメイドのアクセサリーを作ったり、記念日や還暦のお祝いなど、特別な日のフルオーダーもお受けしています。

片山さん:

「結婚指輪のオーダーも多いです。今はブライダルリングのケースをnocraさんと作ろうと企画しています。2k540にはいろいろな素材のお店が集まっているのでコラボの話は生まれやすいですね。普段からよく顔を合わせて話をしている仲ですし、井戸端会議や立ち話の延長線上で気軽に相談できる関係性があります。

以前、2k540の創業祭で、2k540内のいろいろなお店の素材を使って時計を作るワークショップを開催したことがあるのですが、nocraさんの木の土台にうちの真鍮の文字盤とか、別のお店の革の土台に真鍮の文字盤とか、異素材を組み合わせてお客様ごとに全然違う時計が出来上がるのがとても面白かったです。

トウダさん:

「今までの大量生産・大量消費の時代から、じっくり選んで自分だけの特別を手に入れる、というスタイルに徐々に変わってきているのを感じます。その分こちらも責任重大だなと感じますが、これからも一人一人に寄り添ったものづくりを届けていきたいです。」

 

ここから後半の第二部では、参加者からの質問も織り交ぜつつ、さまざまなテーマでのトークを展開しました。

Q. 2k540のおすすめポイントは?

石島さん:

「2k540にはシェアサイクルのポートがあります。北は谷根千、東は蔵前・浅草橋、西は湯島・お茶の水、南は秋葉原・神田・神保町と、2k540は散策しがいのある街なので、シェアサイクルも活用して、周辺地域も含めて楽しんでいただけます。」

トウダさん:

「2k540は老若男女、いろんな人が集まってくる場所です。普通のお店とはちょっと違うよね、とお客様に言われることもよくあります。他にはないものがここにはあるので、プレゼント選びなど、まずは探しに来てみてほしいです。」

片山さん:

「個人的にも2k540でよくプレゼント探しをするのですが、贈った相手からは見たことない!と驚いてもらえることが多いです。また私たちはアクセサリーショップですが、2k540内には他にもいくつかアクセサリーを扱うお店があるので、お客様が探しているものによっては他の店舗を紹介したりします。そうやって、探しているものに出会えるのが2k540の楽しさです。

 

Q. アイデアの厳選は?

トウダさん:

「私はあまり出歩かないタイプなので、インプットよりも想像力を働かせています。この形かわいいな、と漠然に思ったところから、A:buchiadotの世界観にするとどんなデザインになるか空想してみるんです。人がつけているモチーフも他の形に見えてくるので、そこからアクセサリーにしたらどうなるだろう?と考えちゃう。職業病ですね。」

片山さん:

「野菜を切ってみたらオクラが星に見えたりとか、昔ながらの蛇口の口がお花に見えたりとか、何かが別の形に見えると、アクセサリーにできるかも、と思う。物事を見るフィルターがちょっと捻くれているのかも?(笑)格好良くいうと「見立てる」ともいいます。」

石島さん:

「最近美術館巡りが趣味なのですが、絵を見ることよりも、ミュージアムショップを見に行っています。こだわり商品や他にはない商品がたくさんあるので刺激がたくさんあって、たまに2k540の店舗の商品に出会うと、どうやってルートを繋いだの?とその店舗の人に聞いてみたりもします。」

 

Q. 理想的なものづくりの場所は?

トウダさん:

「2k540は私たちにとってまさに理想的な場所です!工房併設なのでどうしても作業の音が大きかったり、エプロンをつけたままちょっとした買い出しに出歩いたりしますが、この街はそれも良しとして受け入れてくれるので。御徒町は元々ジュエリーの街なので、制作に必要な材料や加工職人もすぐ近くに揃っていることも大きいです。」

 

Q. 他店舗との交流が生まれる仕掛けはどこにあるのでしょうか?

石島さん:

「まずコラボすることが目的にあるというより、何かを作る過程で必要な素材を相談できるプロたちが身近にいて、結果としてコラボになるというような順番になっています。日常的に近い距離感でコミュニケーションをとっているからこそ、材料や素材、必要な技術、現実的な数量や金額とかの話まで気軽に相談しやすいのは2k540ならではの魅力です。

いざコラボするとなると、各社の技術だったり込められた想いだったり、より心を広げてコミュニケーションを取ることになります。そういうやりとりを日常的にしているので、普通の商業施設よりテナント同士の仲は良いように思います。」

トウダさん:

「以前は店舗の歓送迎会など、何かと理由をつけては飲み会もやっていましたね。一般的な会社の上下関係とは違うし、お店によって年齢層もバラバラなので、親戚の集まりみたいな感覚が近いかもしれないです。その中で部活動があったり、旅行にいく間柄の人もいたり・・・。2k540として催事出店したり、複数店舗でイベントをやったりできるのも、普段からそういうコミュニケーションがあるからなのかなと思います。」

 

Q. コロナ禍でどのように経営していますか?(ゲストさんより)

石島さん:

「木工業界では現在ウッドショック(木材の価格高騰)も起きていて、業界全体で大打撃を受けています。その上(イベント当時は)休業が続いているので実際とても厳しい状況です。ただそんな中でも2k540内の木工メーカー5社、nocra、Hacoa(*)、めぐりての八木竹工業と工房がんま、空間工房で「木工部」を立ち上げました。コロナ禍は厳しいですが、落ち着いたら前向きな企画ができるよう今から準備をしています。今後、情報発信やイベントも行っていくので楽しみにしていてください。産地も物もルーツも全部バラバラの5社が集まって木工部を結成するというのは、2k540でしかできないことかなと思います。」
*Hacoaはイベント当時は2k540入居店でしたが、2022年現在は閉店しています。

片山さん:

「今はお店が休業中なので、この機会にお店の改装をしています。お店の中のものを全部通路に出して、丸っと大改装できるのも職人の街ならではかもしれません。」

 

Q.最後に、2k540の良さを教えてください。

片山さん:

「2k540にはいろいろな業種のお店があるので、ある店舗の常連さんが別のお店をのぞいて新しい発見をしたりします。なので2k540にお越しの際は、自分とは関係ないかな?と思うお店にもぜひ一歩踏み出してみて、新しい発見をしにきてください。」

石島さん:

「2k540はテナント同士の繋がりも強く、今日のイベントでその関係性のよさ、仲の良さが少しでも伝わっていれば幸いです。2k540は皆様の思いを形にできる場所なので、畏まらず、気軽に遊びにきて相談してもらえたら嬉しいです。」

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